コラム

証券口座乗っ取り被害7,000億円超──「多要素認証の必須化」から「フィッシング耐性MFAの実質義務化」へ
フィッシング詐欺 不正ログイン
2025/05/09

証券口座乗っ取り被害7,000億円超──「多要素認証の必須化」から「フィッシング耐性MFAの実...

2025年春に本格化した証券口座の乗っ取り(不正アクセス・不正取引)は、その後も拡大を続け、2025年の1年間だけで不正取引金額は約7,393億円(金融庁公表)に達しました。これを受けて金融庁は2025年10月に監督指針を改正し、パスキーなど「フィッシング耐性のある多要素認証」の実装・必須化を、原則2026年6月末までに実施するよう証券会社に求めました。その期限をちょうど迎えた今、証券業界の認証は「多要素認証を入れるかどうか」の段階を終え、「どの多要素認証なら攻撃を防げるのか」を問う段階に入っています。 本記事では、被害の最新状況と制度改正の内容、そして必須化の核心である「フィッシング耐性」を満たす認証方式について、電話発信認証の具体例を交えて解説します。証券業界で起きたこの評価軸の転換は、オンラインで本人確認を行う金融・EC事業者すべてが遠からず直面するテーマです。 1. 証券口座乗っ取りの被害は累計7,000億円超に 2025年、被害は当初想定を大きく超えて拡大 2025年2月頃から、フィッシング詐欺を起点とした証券口座への不正アクセス・不正取引が急増しました。当初(2025年4月16日時点)の金融庁公表値は不正アクセス3,312件・不正取引1,454件・売却金額約506億円でしたが、これはあくまで「序章」に過ぎませんでした。 金融庁が公表している月次の被害状況によると、被害のピークは2025年4月で、この1カ月だけで不正アクセスは5,468件、不正取引金額は約3,045億円にのぼりました。2025年通年では不正アクセス17,559件・不正取引9,752件、不正取引金額(売却・買付の合計)は約7,393億円に達しています。 2025年半ば以降、各社の認証強化が進んだことで被害は減少傾向にありますが、根絶には至っていません。金融庁の月次公表値によると、2025年12月時点でも月間約41億円の不正売買が確認されており、2025年1月から2026年5月までの累計では不正アクセス18,915件・不正取引10,474件が報告されています。 手口の中心は「リアルタイムフィッシング」 一連の被害で確認された典型的な手口は、次のようなものです。 証券会社を装ったメールやSMS、検索連動型広告などから、本物そっくりの偽サイトへ誘導する 利用者が入力したID・パスワード、さらにはワンタイムパスワードまでを攻撃者がリアルタイムで正規サイトに中継し、ログインを成立させる(リアルタイムフィッシング) 乗っ取った口座で保有株式を勝手に売却し、その資金で中国株や流動性の低い小型株を大量に買い付け、株価を吊り上げて攻撃者が利益を得る 被害は当初、楽天証券、SBI証券、野村證券、SMBC日興証券、マネックス証券、松井証券の6社に集中していましたが、その後、被害が確認された証券会社は大幅に増え、業界全体の問題となりました。ID・パスワードを盗み取るマルウェア(インフォスティーラー)経由の認証情報流出も指摘されており、「フィッシングに気をつける」という利用者の注意だけでは防ぎきれない状況が明らかになっています。 ここで重要なのは、多くの証券会社が多要素認証(MFA)を必須化した後も、被害が完全には止まらなかったという事実です。SMSやメール、認証アプリで届くワンタイムパスワード(OTP)は、リアルタイムフィッシングによって「本人に入力させて中継する」ことが可能であり、多要素認証であってもフィッシングに耐性があるとは限らない──これが2025年の被害から業界が得た最大の教訓でした。 2. 制度は「必須化」から「フィッシング耐性MFAの実質義務化」へ 金融庁: 監督指針を改正、フィッシング耐性MFAを2026年6月末までに必須化 金融庁は2025年7月に「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」等の一部改正案を公表し、パブリックコメントを経て2025年10月15日に改正・適用しました。改正指針では、インターネット取引を提供する証券会社に対し、ログイン・出金・出金先銀行口座の変更といった重要な操作の際に、パスキー(FIDO/WebAuthn)やPKI(公開鍵基盤)をベースとした認証に代表される「フィッシング耐性のある多要素認証」を実装し、必須(デフォルト)とすることを求めています。実施時期は原則2026年6月末までとされており、監督指針への明記は実質的な義務化を意味します。 「フィッシング耐性のある認証」とは、利用者が偽サイトに認証情報を入力してしまっても、攻撃者がそれを使い回せない・そもそも中継できる情報が存在しない仕組みを指します。パスワードやOTPのように「人が読み取って入力する秘密」に依存する方式は、原理的に偽サイトへの入力・中継を防げないため、この要件を満たしません。 日本証券業協会: ガイドラインを改正、OTPは原則不可に 日本証券業協会(日証協)も2025年10月15日、「インターネット取引における不正アクセス等防止に向けたガイドライン」を改正しました。2025年4月時点では「58社が多要素認証の必須化を決定」という段階でしたが、改正ガイドラインはさらに踏み込み、リアルタイムフィッシングで突破され得るOTP型の認証を原則不可とし、フィッシング耐性のある多要素認証の採用を必須としています。ログイン時だけでなく、出金や登録情報変更といった重要操作の場面でも追加認証を求める多層防御の考え方は維持されています。 つまり業界のルールは、「多要素認証を導入したか」ではなく「導入した多要素認証がフィッシングに耐えられるか」を基準に書き換えられたのです。 楽天証券の事例: メール認証コードからパスキー必須化へ こうした制度改正への個社の対応状況は各社の公表リリースによりますが、先行事例となっているのが楽天証券です。同社は2025年6月1日、ログイン時の多要素認証をすべてのチャネルで必須化しました。しかし前述のとおり、メールで届く認証コードのような方式はリアルタイムフィッシングへの耐性が十分ではありません。 そこで同社は2025年10月26日、パスキー(FIDO2)によるログイン認証を導入し、さらに2026年6月以降、ログイン時のパスキー認証を段階的に必須化する方針を発表しました。「多要素認証の必須化」から1年あまりで「フィッシング耐性認証の必須化」へ移行するというこの流れは、業界全体が今後たどる道筋を示していると言えます。 3....

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クレジットカード・セキュリティガイドライン【6.1版】を解説──6.0からの変更点と、EC事業者が今取るべき対応
3DS・チャージバック
2025/04/21

クレジットカード・セキュリティガイドライン【6.1版】を解説──6.0からの変更点と、EC事業...

クレジットカードの不正利用被害が依然として年間500億円を超える規模で続くなか、「クレジット取引セキュリティ対策協議会(事務局: 日本クレジット協会)」は、2026年3月11日に『クレジットカード・セキュリティガイドライン』の最新版となる【6.1版】を公表しました。 6.1版は、2025年3月に公表された6.0版をベースとした改訂版であり、EC加盟店に求められる指針対策そのものに追加・変更はありません。一方で、実務の拠り所となる附属文書は18本が変更され、新たに2本が追加されており、「6.0版で示された対策を、いかに実装・運用するか」というフェーズに軸足が移ったことを示す改訂といえます。 本記事では、6.1版までのアップデートを踏まえたガイドラインの最新の全体像と、なかでもEC事業者への影響が大きい「決済前の不正ログイン対策」を中心に、今取るべき対応を分かりやすく解説します。 なお、貴社に届いたセキュリティチェックリストへの具体的な対応手順は「不正ログイン対策、もう先延ばしできない セキュリティチェックリストが届いたEC加盟店へ」を、決済時のEMV 3-Dセキュアの運用方式については「3Dセキュア導入後、決済承認率が下がっていませんか?」を、あわせてご覧ください。 1. クレジットカード・セキュリティガイドライン【6.1版】のポイント 6.0版から何が変わったのか──指針対策は変更なし、附属文書を拡充 ガイドラインは、クレジット取引セキュリティ対策協議会が毎年見直しを行っており、2026年3月11日改訂の6.1版が現時点(2026年7月)の最新版です。 6.1版の位置づけを整理すると、次のとおりです。 EC加盟店等に求められる指針対策(セキュリティ対策の項目)は、6.0版から追加・変更なし 一方、対策の具体的な進め方を示す附属文書は18本が変更され、2本が新規に追加 つまり、「6.0版で何をすべきかは既に示されており、6.1版ではその実行を後押しする実務資料が拡充された」と理解するのが正確です。6.0版を基準に対策を進めてきた事業者は方針を変える必要はありませんが、附属文書の更新内容は自社の対応状況と照らして確認しておくことをおすすめします。 とりわけEC加盟店の実務に直結するのが、附属文書20「EC加盟店におけるセキュリティ対策 導入ガイド」の2.1版への改訂です。今回新たに、実際に不正利用を抑え込んだ加盟店の取り組みをまとめた別紙d「不正利用の抑止を実現する加盟店の事例集」と、カード会社・決済代行会社への対策状況の報告に用いる「ECサイトのセキュリティ対策実施状況申告書(例)に関するFAQ」が追加されました。また、不正検知の実務指針である附属文書19「属性・行動分析ガイダンス」も1.2版に改訂されています。自社の対策状況を棚卸しする際の具体的な手がかりとして活用できます。 なお、本ガイドラインの発行主体は経済産業省・カード会社・加盟店団体などで構成される「クレジット取引セキュリティ対策協議会」であり、日本クレジット協会はその事務局を務めています。ガイドラインは法令そのものではありませんが、割賦販売法上の「必要かつ適切な措置」の実務上の指針とされているため、EC加盟店にとって事実上の対応基準となる文書です。 改訂の背景──被害額は減少に転じたが、依然510億円超 ガイドライン改訂の背景には、深刻な不正利用被害の状況があります。 日本クレジット協会の統計によると、クレジットカード不正利用被害額は2024年に555億円と過去最悪を記録しました。その後、2026年3月に公表された2025年(1〜12月)の被害額は510.5億円と、前年比8.0%減で減少に転じています。年間被害額が前年を下回るのは、コロナ禍の2020年以来5年ぶりです。 これは、2025年3月末を対応期限としたEMV 3-Dセキュアの導入をはじめ、ガイドラインに基づく対策が業界全体で進んだ効果とみられます。ただし、被害額の内訳を見ると、カード番号の盗用による被害が475.4億円と全体の9割超(構成比93.1%)を占めており、その大半はECサイトなど非対面取引で発生しています。「減少に転じたとはいえ、依然として500億円を超える被害が非対面を中心に続いている」というのが現在地です。 従来は「カード情報を保存しない(非保持化)」または「保存する場合はPCI DSS準拠」という基準に従うことで一定のセキュリティが担保されてきました。しかし、フィッシングによるカード情報・ログイン情報の詐取など攻撃手法が巧妙化するなか、6.0版ではECサイト自体の安全性を高めるため、管理画面のアクセス制限、Webアプリケーションの脆弱性対策、ウイルス対策ソフトの導入といった具体的な技術的対策が指針対策として盛り込まれ、6.1版でもこの枠組みが維持されています。 不正利用対策の目指す「線の考え方」 ガイドラインでは、不正利用対策の基本方針として「線の考え方」が強調されています。6.0版では、この考え方に沿ってより具体的・実践的な指針が追加されました。 かつては「決済時の本人確認」を中心とした点の対策が主流でしたが、現在のガイドラインでは、決済前・決済時・決済後という一連のフロー全体を通じて不正を防止する、包括的・多層的なセキュリティ対策の必要性が明示されています。 特に、決済前の「適切な不正ログイン対策の実施」と、決済時の「EMV 3-Dセキュアの導入」は、EC加盟店を対象とした指針対策として位置づけられており、取引の早い段階からセキュリティの線を引くための重要な柱とされています。...

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メルカリでパスキー不具合多発?ログインできない原因と代わりの認証方法
認証
2025/04/01

メルカリでパスキー不具合多発?ログインできない原因と代わりの認証方法

近年、パスワードに代わる次世代の認証方式として注目されている「パスキー」。その安全性や利便性から導入を進めるサービスも増えています。一方、ユーザー側では混乱や技術的な不具合も報告されています。 こうした中で、特にフリマアプリ「メルカリ」ではパスキー導入以降、一部のユーザーがログインできないといった問題が多発し、SNSでも話題になっています。 本記事では、メルカリで起きているパスキー認証にまつわるログイントラブルの実態と技術的な背景、さらには代替となる現実的な認証方法について解説します。 1. メルカリで発生しているパスキー認証トラブルとは? Togetterでも話題に:広がるログイン不具合 2024年秋頃から、SNS上で「メルカリにログインできない」という声が急増しています。中でもTogetterでは、実際に被害に遭ったユーザーたちの投稿がまとめられ、大きな注目を集めました。 「スマホでは使えていたが、パソコンからのログインが急にできなくなった」などの報告が相次いでいます。具体的には、USBセキュリティキーの挿入を求められるケースや、QRコードが表示されたもののスマートフォンで読み取るとエラーになるケースなど、複数のパターンが確認されています。 これらの投稿には、普段からメルカリを利用していたユーザーの困惑が色濃くにじんでおり、ログイン方法の変化に戸惑う声が数多く見られました。 「セキュリティキーをUSBポートに挿入してください」のアラートが多数報告 最も多く報告されているのが、「セキュリティキーをUSBポートに挿入してください」という表示によってログインができなくなるケースです。 セキュリティキーとは、USBメモリのような形状の本人確認用デバイスのことを指しますが、実際のユーザーたちの声によると、そのようなセキュリティキーなど設定した覚えがないとのこと。 これは、パスキーを登録した際にスマートフォン内に保存された「秘密鍵」が、他の端末では認証に使えないことが原因と考えられます。本来であれば、QRコードを利用した端末間の認証移行などが用意されているはずですが、メルカリ側の実装状況やAndroidなどの端末側の対応状況によって、正常に機能しないケースが確認されています。 問い合わせでも解決しないユーザーが続出 これらの問題について、サポート側でも新しい認証方式であるパスキーに対する知見やマニュアルが整っておらず、個別対応が難しい状況にあると考えられます。 実際にメルカリのカスタマーサポートに問い合わせたというユーザーからは、「キャッシュを削除してください」「別のブラウザをお試しください」といった、状況に即していないテンプレート対応ばかりが返ってくるとの声が多く、根本的な解決には至っていないケースが大半です。 結果として、メルカリの利用を断念せざるを得ない状況に直面するユーザーも見受けられ、運営に対する信頼感の低下を招く要因となっています。 2. パスキーの仕組みと課題 パスキーは秘密鍵を端末に保存する構造 パスキーは、従来のパスワードに代わる認証方式として開発された技術で、ユーザーの秘密鍵を各端末に保存する仕組みとなっています。 特に、指紋認証や顔認証といった生体認証を利用して本人確認を行うスタイルは、多くのユーザーにとって直感的で分かりやすく、パスワード入力の手間を省きつつ、高い安全性と利便性を実現しています。 ただし、この仕組みは「認証に使う秘密鍵が端末の中にある」という前提の上で成り立っています。そのため、たとえ同じアプリケーションであっても、別の端末からログインしようとすると、同じ秘密鍵がなければ認証は成立しません。 デバイス依存やプラットフォーム間の非互換が課題 「秘密鍵を各端末に保存する」というパスキーの前提構造が、逆にトラブルの原因となることもあります。 たとえば、スマートフォンでパスキーを登録した場合、パソコンから同じアカウントにログインしようとしても、秘密鍵が存在しないため認証できないか、あるいは追加の認証手段が求められる場合があります。 また、端末を機種変更した際も、設定内容やバックアップの状況によっては認証に失敗する事例も珍しくありません。 さらにAndroidやiOS、Windows、macOSといった異なるプラットフォーム間では、パスキーの管理方式や仕様に違いがあり、QRコードを使った連携がうまくいかないケースもあります。 実際に、PCに表示されたQRコードをスマートフォンで読み取った際、ログインエラーが発生したり、「別のデバイスで再試行してください」といったメッセージが表示される事例も確認されています。 端末間のバージョン差による動作不良も確認...

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GmailのSMS認証が廃止へ|なぜ?フィッシング対策と二要素認証の今後
フィッシング詐欺 認証
2025/03/10

GmailのSMS認証が廃止へ|なぜ?フィッシング対策と二要素認証の今後

フォーブスの記事によると、GoogleはGmailのログイン時に利用されていたSMS認証を廃止する方針を発表しました。この変更はセキュリティの強化を目的としたものですが、なぜ今このタイミングで行われるのでしょうか?  本記事では、SMS認証が抱えるリスクやGoogleの方針、そして今後の代替認証手段について詳しく解説します。 1. GmailのSMS認証が廃止される理由 SMS認証の脆弱性(フィッシング詐欺とトラフィックポンピング) Gmailの広報担当者リッチェンドルファー氏と同僚のサムラ氏によれば、GmailのSMS認証廃止の背景には二つのセキュリティリスクがあるといいます。 一つ目はフィッシング詐欺のリスクです。 SMS認証コードは、偽のログインページを使ったフィッシング攻撃によって盗まれるリスクがあります。ユーザーが正規のGoogleサイトだと思い込み認証コードを入力すると、その情報が攻撃者に渡り、不正アクセスの危険性が高まります。その結果、アカウントが乗っ取られたり、個人情報が流出して被害が発生するケースも少なくありません。 二つ目は、トラフィックポンピングの被害拡大です。 これは詐欺業者がGoogleのSMS認証を悪用し、自分たちの管理する番号に大量の認証コードを送信させることで、手数料を不正に得る手口です。 本来SMS認証の実行時にはGoogleから通信キャリアに支払いが発生します。しかし、一部の通信キャリアは詐欺業者と結託し、Googleから受け取る手数料の一部を詐欺業者に還元することで、不正な利益を生み出しています。 こうした構造により、Googleは不要なコスト負担を強いられ、結果的にSMS認証の維持が企業にとって大きな負担となっています。 Googleが進めるセキュリティ強化の方向性 Googleは、SMS認証の廃止を単なる仕様変更ではなく、全体的なセキュリティ強化の一環と位置付けています。 SMS認証はフィッシング攻撃の標的になりやすく、さらにトラフィックポンピングによる不正なコスト負担を招くリスクもあります。そのため、Googleはより安全な認証方法への移行を進めています。 すでに生体認証や二要素認証の強化が進められており、さらなる対策として利便性と安全性を両立した新たな認証手段の導入が検討されています。 2. 代替案としての認証手段 二要素認証アプリ 二要素認証アプリとは、パスワードに加えてもう一つの認証要素を必要とすることで、セキュリティを強化する仕組みです。その代表例が「Google Authenticator」です。このアプリは、ログイン時にワンタイムパスワード(OTP)を生成し、そのコードを入力することで認証を行います。 SMS認証と異なり、フィッシング攻撃でコードを盗まれるリスクが低く、通信キャリアを経由しないためトラフィックポンピングの影響も受けません。 また、インターネット接続が不要なため、より安全な認証手段として多くのサービスで採用されています。 プッシュ通知型認証 Googleプロンプトは、スマートフォンに直接ログイン通知を送信し、ワンタップで認証を完了できる仕組みです。この方式の最大の特徴は、ユーザーが手入力でコードを入力する必要がない点です。 フィッシング攻撃では、偽のサイトでユーザーに認証コードを入力させる手口が一般的ですが、Googleプロンプトではそのような手法が通用しません。 ユーザー自身がログインリクエストを確認して承認するため、不正アクセスのリスクを大幅に減らすことができます。 パスキー 近年、Googleはパスワードレス認証の普及を進めており、その中心的な技術が「パスキー」です。パスキーは、指紋認証や顔認証、PINコードを利用して、従来のパスワード入力を不要にする認証方式です。 端末に直接認証情報を保存するため、外部からの攻撃によってパスワードが流出するリスクを防ぐことができます。さらに、ユーザーは複雑なパスワードを覚える必要がなく、セキュリティと利便性を両立できる点が大きなメリットです。...

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国際犯罪組織の転売スキーム:不正カードを利用した詐欺の手口と対策
不正転売
2025/02/27

国際犯罪組織の転売スキーム:不正カードを利用した詐欺の手口と対策

近年、クレジットカードの不正取引が急増しており、国際犯罪組織が関与するケースも増加しています。詐欺の手口は年々巧妙化し、従来の対策だけでは十分に対応しきれない状況が続いています。 本記事では、不正カード取引の手口やその後の転売の流れを明らかにし、EC事業者が直面するリスクとその対策について詳しく解説します。 1. 国際犯罪組織の手口 相次ぐ不正カード取引とその実態 近年、クレジットカード情報を不正に入手する犯罪が増加しています。 特に2023年は暴力団員が不正に入手したクレジットカード情報を利用し、高額な化粧品や日用品を大量に購入した後、フリマアプリを通じて転売・換金を行っていたことが発覚しました。 決済を複数の少額決済に分けて行うことで、不正検知システムを回避しやすい手法も用いられており、これが不正利用の発覚を遅らせた一因となっています。同年5~6月には、輸入販売業者や製薬会社など計38社が被害を受け、その総額は約150万円にのぼるとみられています。 背後に潜む組織的犯罪 このような不正カード取引の背後には、国際的な犯罪組織の関与が確認されています。今回の事件でも、日本国内で活動する暴力団が実行役となったものの、収益の大部分は中国などの海外へと渡ったとみられています。 日本人を狙った詐欺では、海外の犯罪組織が暗躍しているケースは珍しくありません。 東京未来大学こども心理学部の出口保行教授(犯罪心理学)は、性善説が根強い日本人は国際犯罪組織に狙われやすく、フィッシング詐欺による個人情報の流出が多発しており、被害への警戒が必要だとしています。 2. 不正転売の流れ フィッシング詐欺で個人情報を入手 不正転売スキームの第一段階として、犯罪者はフィッシング詐欺を利用してクレジットカード情報を不正に入手します。代表的な手口の一つとして、大手企業を装った偽のメールやウェブサイトを用い、カード所有者に情報を入力させる方法があります。 また、SNSやメッセージアプリを通じて偽のキャンペーンを装い、ユーザーを誘導するケースも増えています。 不正カードで商品購入 入手したクレジットカード情報を利用し、犯罪者は高額な化粧品や電子機器など、転売価値の高い商品を購入します。一度の購入金額が高すぎることが特徴の一つでしたが、最近では不正検知を避けるために複数の少額取引に分散させ、通常の購買行動を装うことがあります。 購入した商品の送付先住所はウィークリーマンションや宅配センターなど、カード所有者の住所とは異なる住所を記載し、所有者本人に気付かれる前に商品を受け取ります。 フリマで転売し換金 購入した商品は、フリマアプリやオークションサイトを通じて転売され、現金化されます。匿名性が確保されやすいプラットフォームを利用することで、取引の痕跡を残さずに換金することができ、換金後の追跡を困難にする手法が取られています。 このように不正転売スキームは、個人情報の詐取から商品購入・転売・換金まで一連のプロセスを通じて巧妙に実行されており、その件数は増加の一途を辿っています。 3. 広がる不正と対策の難しさ フィッシング詐欺の巧妙化 近年のフィッシング詐欺はますます巧妙化しています。攻撃者は公式サイトに酷似した偽メールや偽サイトを作成し、ユーザーが詐欺と見抜くことを困難にしています。 例えば、「あなたの情報が不正利用されています」といった警告メッセージで不安を煽り、騙されたユーザーがログイン情報を入力すると、その情報は即座に攻撃者へ渡ってしまうのです。さらにAIを活用したリアルタイムフィッシングが進化したことで、ユーザーが入力した情報を瞬時に悪用する手法も登場しています。これにより、ユーザーが気づく前に不正取引が実行できてしまうのが実状です。 フィッシング詐欺のターゲット自体も拡大しており、最近では個人だけでなく、企業の決済担当者や経理部門も標的となっています。特に、ビジネスメール詐欺(BEC)は深刻な被害をもたらし、適切な対策を怠れば企業は巨額の損失を被る可能性があります。 本人認証なしで進むネット取引のリスク...

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公的個人認証(JPKI)とは?仕組み・一本化スケジュール・課題を徹底解説【2026年最新動向】
政策 認証
2025/01/10

公的個人認証(JPKI)とは?仕組み・一本化スケジュール・課題を徹底解説【2026年最新動向】

近年、フィッシング詐欺やなりすましなど、インターネット上の不正行為が増加し社会問題となっています。 そこで本人確認の切り札として位置づけられているのが、マイナンバーカードに格納された電子証明書を利用する公的個人認証(JPKI)です。 2026年4月には携帯電話契約の非対面本人確認がJPKIへ一本化され、2027年4月には金融機関など犯罪収益移転防止法(犯収法)の対象事業者にも同様のルールが適用されます。JPKIはもはや「行政手続きのための仕組み」ではなく、民間サービスを含む本人確認の標準インフラになりつつあります。 本記事では、JPKIの仕組みと使い方をおさらいしたうえで、2026年7月時点の最新動向――マイナンバーカードの普及状況、iPhone搭載、非対面本人確認の一本化スケジュール、民間での導入事例――を整理します。そのうえで、2027年4月の犯収法改正への対応を迫られる金融機関や、本人確認の強化を検討するEC・オンラインサービス事業者の方に向けて、JPKIに残された課題と実務上の対策を掘り下げてご紹介します。 1. 公的個人認証(JPKI)とは JPKIの仕組み 公的個人認証(JPKI: Japanese Public Key Infrastructure)は、インターネット上で本人確認・本人認証を安全かつ確実に行うための公的なサービスです。 行政手続きやオンラインサービスでの認証が効率化され、なりすましや情報の改ざんといったリスクを軽減します。紙媒体で行われていた申請や手続きをオンライン化できるため、利便性が向上するだけでなく、手続きの透明性や正確性も高まります。 JPKIでは、マイナンバーカードのICチップに格納された電子証明書を使い、利用者が暗証番号を入力することで本人確認を行います。 電子証明書には次の2種類があります。 署名用電子証明書: 「この文書を作成・送信したのは本人である」ことを証明します。e-Taxの申告や口座開設の申込など、意思表示を伴う手続きで使われます。 利用者証明用電子証明書: 「ログインしているのは本人である」ことを証明します。マイナポータルへのログインやコンビニ交付などで使われます。 暗号方式には公開鍵暗号方式が採用され、「公開鍵」と「秘密鍵」のペアが用いられます。公開鍵はシステム側で使用される一方、秘密鍵はICチップ内に厳重に保管され、外部から取り出すことができません。認証時にはこの2つが連携して動作し、なりすましやデータの改ざんを防ぐ仕組みが実現されています。 基本的な使い方 JPKIを利用するには、初期設定が必要です。 まず、市区町村の窓口でマイナンバーカードを受け取る際に、カード内のICチップに電子証明書を搭載し、署名用(6〜16桁の英数字)と利用者証明用(4桁の数字)それぞれの暗証番号を設定します。 利用環境に応じて、カードを読み取るためのICカードリーダーやNFC対応スマートフォンを準備します。サービスによっては専用アプリ(マイナポータルアプリなど)のインストールが求められる場合もあります。 利用時には、対応するウェブサービスやアプリを開き、マイナンバーカードをカードリーダーやスマートフォンにかざし、画面の指示に従って暗証番号を入力すれば、電子証明書が読み取られて本人確認が完了します。後述の「iPhoneのマイナンバーカード」やAndroidのスマホ用電子証明書を利用すれば、物理カードをかざす操作すら不要になりつつあります。 2. JPKIの最新動向(2026年7月時点) マイナンバーカードは保有枚数1億枚を突破、保有率81.2%に JPKIの利用に必要となるマイナンバーカードの普及は、着実に進んでいます。 総務省の交付状況によると、2026年1月末時点で保有枚数は1億枚を突破し、人口に対する保有枚数率(以下、保有率)は81.2%に達しました。健康保険証との一体化(マイナ保険証)や各種オンライン手続きの拡大が、保有を後押ししています。...

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