コラム

3Dセキュア2.0の「チャレンジ認証」を完全攻略!仕組みからエラー対策まで網羅
基礎知識
2025/07/02

3Dセキュア2.0の「チャレンジ認証」を完全攻略!仕組みからエラー対策まで網羅

ネット決済で求められる3Dセキュアの「チャレンジ認証」に、戸惑いや不便を感じていませんか?この記事では、チャレンジが発生する仕組みである「リスクベース認証」から、具体的な発生シナリオ、カード会社ごとの違い、エラー対策まで徹底解説。結論として、チャレンジは不正利用を防ぐための重要な追加認証です。その仕組みと正しい対処法を理解し、安全でスムーズなオンライン決済を実現しましょう。 1. 3Dセキュア2.0の核心「リスクベース認証」と「チャレンジ」の仕組み オンラインショッピングでクレジットカード決済をする際、カード会社のロゴが表示されたパスワード入力画面や、スマートフォンでの認証を求める画面に切り替わった経験はありませんか?それが「3Dセキュア」による本人認証です。特に、追加の認証が求められるケースを「チャレンジ認証」と呼びます。 この章では、なぜチャレンジ認証が発生するのか、その裏側にある3Dセキュア2.0の核心的な仕組みである「リスクベース認証」について、初心者にも分かりやすく解説します。 1.1 チャレンジ認証とは?不正利用を水際で防ぐ追加認証 チャレンジ認証とは、3Dセキュア2.0において、クレジットカード決済がカード保有者本人によるものかを確認するために行われる「追加の本人確認手続き」のことです。チャレンジ(Challenge)という言葉の通り、カード会社が取引の安全性に確信が持てない場合に、利用者に対して「本当にあなた本人ですか?」と問いかけ(挑戦し)、それを証明してもらうプロセスを指します。 フィッシング詐欺や情報漏洩などによって、カード番号やセキュリティコードが第三者の手に渡る事件は後を絶ちません。実際に、一般社団法人日本クレジット協会の調査によると、2023年のクレジットカード不正利用被害額は過去最悪の540.9億円にのぼり、その多くがカード番号を盗用されたことによる被害でした。(出典: 一般社団法人日本クレジット協会「クレジットカード不正利用被害額の発生状況」) チャレンジ認証は、こうした第三者による「なりすまし」を防ぎ、不正利用を水際で阻止するための最後の砦として機能します。たとえカード情報が盗まれたとしても、本人しか知らないパスワードや、本人のスマートフォンにしか届かないワンタイムパスワードの入力を求めることで、第三者が決済を完了させることを極めて困難にするのです。 1.2 チャレンジが発生する/しないは「リスクベース認証」で決まる 「毎回パスワードを入力するのは面倒…」と感じる方もいるでしょう。しかし、最新の3Dセキュア2.0では、必ずしも毎回チャレンジ認証が発生するわけではありません。その鍵を握るのが「リスクベース認証」という仕組みです。 リスクベース認証とは、決済ごとに行われる取引の状況をリアルタイムで分析し、不正利用のリスク度合いを判定する仕組みです。カード会社は、ECサイトや決済代行会社から提供される様々な情報を基に、その取引が「本人による可能性が高いか(低リスク)」、それとも「第三者による不正の疑いがあるか(高リスク)」を瞬時に判断します。そして、そのリスク判定の結果に応じて、追加認証(チャレンジ)を行うかどうかを決定しているのです。 1.2.1 カード会社がリスク判定に利用する情報とは では、カード会社は具体的にどのような情報を使ってリスクを判断しているのでしょうか。EMVCo(※)が定める国際規格に基づき、以下のような多角的な情報が利用されています。 ※EMVCo:Visa、Mastercard、JCB、American Express、Discover、UnionPayの国際カードブランド6社が共同で設立した、決済技術の標準化と普及を推進する団体。 リスクベース認証で利用される情報の例 情報のカテゴリ 具体的な情報内容 解説 デバイス情報 PC、スマートフォン、OSの種類・バージョン、ブラウザ情報など いつも利用している端末からのアクセスか、不審な設定のデバイスではないかなどを確認します。 アクセス情報 IPアドレス、接続国、時間帯など 普段と異なる国からのアクセスや、深夜など不自然な時間帯の利用ではないかを判定します。...

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その違い、説明できますか?二要素認証・多要素認証・二段階認証の正しい使い方
基礎知識
2025/06/26

その違い、説明できますか?二要素認証・多要素認証・二段階認証の正しい使い方

「二要素認証」「多要素認証」「二段階認証」、これらの言葉の正確な違い、ご存知ですか?この記事を読めば、それぞれの認証方式の定義、仕組み、メリット・デメリットが明確に理解できます。オンラインサービス利用時のセキュリティ強化に不可欠なこれらの認証方式を正しく使い分け、不正アクセスを防ぐための知識が身につきます。 1. はじめに 二要素認証 多要素認証 二段階認証の重要性 オンラインバンキング、SNS、クラウドサービスなど、私たちの生活は数多くのデジタルサービスに支えられています。これらのサービスを安全に利用するためには、「本人であること」を正しく確認する「認証」の仕組みが不可欠です。近年、サイバー攻撃の手口はますます巧妙化・悪質化しており、従来のIDとパスワードだけの認証では、不正アクセスや情報漏洩のリスクを防ぎきれないケースが増えています。 そこで注目されているのが、「二要素認証(2FA)」「多要素認証(MFA)」「二段階認証」といった、より強固な認証方式です。これらの言葉を耳にする機会は増えましたが、それぞれの違いや正しい意味、具体的な使い方を正確に理解しているでしょうか? 実は、これらの認証方式は混同されやすく、誤った認識のままでは、せっかくのセキュリティ対策も効果が半減してしまう可能性があります。 本記事では、セキュリティ対策の基本とも言えるこれらの認証方式について、それぞれの定義、仕組み、メリット・デメリット、そして正しい選び方や使い方を分かりやすく解説します。安全なデジタルライフを送るために、認証の知識をアップデートしましょう。 1.1 なぜ今、認証強化が求められるのか? 私たちが日々利用するオンラインサービスには、個人情報や決済情報といった機密性の高いデータが数多く含まれています。これらの情報が一度漏洩したり、アカウントが乗っ取られたりすると、金銭的な被害だけでなく、社会的な信用の失墜にも繋がりかねません。認証強化が急務とされる背景には、主に以下の要因があります。 サイバー攻撃の高度化・常態化: フィッシング詐欺、パスワードリスト攻撃、マルウェア感染など、攻撃者は常に新しい手口で認証情報の窃取を試みています。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が毎年発表している「情報セキュリティ10大脅威」でも、不正アクセスや情報漏洩に関連する脅威が常に上位を占めており、個人・組織を問わず、誰もがサイバー攻撃の標的となり得る時代です。 従来のID/パスワード認証の限界: 多くのサービスで基本となっているIDとパスワードによる認証は、パスワードの使い回し、推測されやすい文字列の使用、フィッシングによる詐取といった脆弱性を抱えています。どれだけ複雑なパスワードを設定しても、それが漏洩してしまえば意味がありません。 クラウドサービス利用の拡大と働き方の多様化: クラウドサービスの普及やテレワークの浸透により、場所やデバイスを問わずに重要な情報へアクセスする機会が増えました。 これは利便性を向上させる一方で、不正アクセスのリスクポイントも増加させることになり、より強固な本人確認手段が求められています。 このような状況下で、単一の認証情報だけに頼るのではなく、複数の認証手段を組み合わせることでセキュリティ強度を高めるアプローチが不可欠となっています。 1.2 認証方式の多様化とその背景 セキュリティに対する意識の高まりとともに、認証方式も進化し、多様化してきました。従来のパスワード認証の弱点を補うために登場したのが、「二段階認証」「二要素認証」「多要素認証」といった考え方です。 これらの認証方式は、「何かを知っている(知識情報)」「何かを持っている(所持情報)」「自分自身である(生体情報)」といった異なる種類の認証要素を組み合わせることで、不正アクセスの難易度を格段に高めます。たとえ一つの認証情報が破られても、他の認証情報が関門となるため、アカウントの乗っ取りを防ぐ効果が期待できます。 しかし、これらの用語はしばしば混同されたり、同義として扱われたりすることがあります。それぞれの認証方式が持つ意味や特性を正しく理解することが、自社のサービスや個人アカウントのセキュリティレベルを適切に評価し、必要な対策を講じるための第一歩となります。 2. 二段階認証とは何か オンラインサービスやシステムを利用する際、**セキュリティを強化するために用いられる認証方法の一つが「二段階認証」**です。近年、不正アクセスや情報漏洩のリスクが高まる中で、IDとパスワードだけの認証では不十分とされるケースが増えてきました。そこで注目されているのが、複数の認証ステップを組み合わせることで、アカウントの安全性を高めるアプローチです。二段階認証は、その中でも比較的導入しやすく、多くのサービスで採用されています。 この章では、二段階認証の基本的な仕組みから、具体的な利用例、そしてそのメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。正しく理解し活用することで、あなたの大切な情報を不正アクセスから守る一助となるでしょう。 2.1 二段階認証の基本的な仕組み 二段階認証(Two-Step Verification、2SV)とは、その名の通り、認証プロセスを「二つの段階」に分けて行う仕組みを指します。通常、最初の段階では利用者が記憶している情報(IDとパスワードなど)を入力し、それが正しい場合に次の段階へ進みます。そして、第二の段階では、第一段階とは異なる方法で本人確認を行います。 具体的には、以下のような流れで認証が行われます。...

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パスキー=万能じゃない?便利な仕組みと知っておくべきデメリット
基礎知識
2025/06/26

パスキー=万能じゃない?便利な仕組みと知っておくべきデメリット

「パスキーは本当に安全で便利なの?」「パスワードと何が違うの?」そんな疑問をお持ちではありませんか? 本記事では、次世代の認証技術として注目されるパスキーの基本的な仕組みから、パスワード認証との決定的な違いまで徹底解説します。 さらに、フィッシング詐欺に強いといったメリットだけでなく、「使いにくい」「危険性がある」といった見落とされがちなデメリットやリスク、復旧の難しさまで深掘り。パスキーが「万能ではない」理由を明らかにし、あなたの認証に関する不安を解消し、より安全な選択肢を検討するための知識を提供します。 1. パスキーとは?パスワードとの違いまで徹底解説 近年、パスワードに代わる次世代の認証技術として注目を集めている「パスキー」。その基本的な仕組みから、これまで主流だったパスワード認証との違いまで、詳しく解説します。 1.1 パスキー認証の基本的な仕組み パスキー(Passkey)は、パスワードを使わずにウェブサイトやアプリケーションにログインできる新しい認証方式です。FIDO Allianceが提唱する「FIDO2」という技術標準に基づき、WebAuthn(ウェブオースン)というWeb標準技術によって実現されています。 パスキー認証の最大の特長は、公開鍵暗号方式を利用している点にあります。 ユーザーがサービスに登録する際、利用しているデバイス(スマートフォン、PCなど)上で秘密鍵と公開鍵のペアが生成されます。このうち、公開鍵のみがサービス提供側のサーバーに登録され、秘密鍵はユーザーのデバイス内に安全に保管されます。 ログイン時には、ユーザーはパスワードを入力する代わりに、デバイスの生体認証(指紋、顔認証など)やPINコードを使って認証を行います。 これにより、デバイス内の秘密鍵が利用され、サービス側が要求する「チャレンジ」(ランダムなデータ)に対して署名が行われます。サービス側は、事前に登録された公開鍵を使ってこの署名を検証することで、本人であることを確認します。 この仕組みにより、ユーザーは複雑なパスワードを覚える必要がなく、また、サービス提供側のサーバーにはパスキーそのもの(秘密鍵)が保存されないため、サーバーからの情報漏洩による被害リスクを大幅に低減できます。 1.2 パスワード認証の仕組みと課題 これまでインターネット上の認証の主流であったパスワード認証は、ユーザーが設定した文字列(パスワード)と、サービス提供側のサーバーに保存されたパスワード(多くはハッシュ化されたもの)を照合することで本人確認を行う仕組みです。 しかし、このパスワード認証には多くの課題が指摘されています。 覚えにくさと使い回し:セキュリティを強化するためには複雑で長いパスワードが必要ですが、これはユーザーにとって覚えにくく、結果として複数のサービスで同じパスワードを使い回してしまう「パスワード使い回し」の温床となります。 フィッシング詐欺のリスク:偽サイトに誘導され、パスワードをだまし取られるフィッシング詐欺の被害が後を絶ちません。ユーザーがフィッシングサイトと正規サイトを見分けるのは非常に困難です。 サーバーからの漏洩リスク:サービス提供側のサーバーがサイバー攻撃を受け、保存されているパスワード情報が漏洩するリスクがあります。ハッシュ化されていても、辞書攻撃やブルートフォース攻撃によって解読される可能性があります。 入力の手間:サービスを利用するたびにパスワードを入力する手間がかかります。 これらの課題を解決するため、二段階認証や多要素認証が普及しましたが、これらはパスワード認証の根本的な脆弱性を補完するものであり、ユーザーの利便性を損なう側面もありました。 1.3 パスキーとパスワード 何が違う? パスキーとパスワードは、どちらもユーザー認証に使われる手段ですが、仕組みやセキュリティ、使いやすさに明確な違いがあります。以下に主なポイントを簡潔に整理します。 認証方式パスキーは、デバイスに保存された秘密鍵とサーバーの公開鍵を使う「公開鍵暗号方式」を採用し、安全性を確保しています。一方パスワードは、ユーザーが記憶した文字列をサーバーに送って照合する「共有秘密鍵方式」です。 記憶の負担パスキーは、ユーザーが秘密鍵を覚える必要がなく、生体認証やPINで端末を解錠するだけで利用可能です。パスワードは複雑な文字列を覚えて入力する必要があり、記憶・入力の手間が大きくなります。...

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AI時代に問われる生体認証の安全性:脅威と対策の最新情報
不正ログイン 認証
2025/06/14

AI時代に問われる生体認証の安全性:脅威と対策の最新情報

生体認証はパスワードに代わる便利な認証手段として普及が進んでいます。しかし、AI技術の進化はディープフェイクなどの新たな脅威も生み出しており、その安全性に注目が集まっています。本記事では、生体認証の基礎知識から最新の脅威、そして多層防御やゼロトラストといった有効なセキュリティ対策までを網羅的に解説。AI時代の生体認証を安全に活用するためのポイントが分かります。 1. 生体認証技術の概要 生体認証とは、指紋、顔、虹彩、声、静脈といった個人の身体的特徴や、署名、キーストロークといった行動的特徴など、人それぞれに固有の生体情報を利用して本人確認を行う技術です。従来の知識情報(パスワードやPINコード)や所持情報(ICカードや鍵)による認証方法と比較して、紛失や盗難のリスクが低く、なりすましが困難であるという大きなメリットがあります。また、利用者がパスワードを記憶したり、認証媒体を携帯したりする必要がないため、利便性の向上にも大きく貢献します。デジタル化が急速に進展する現代社会において、オンラインサービスへのログイン、金融取引、施設の入退室管理など、多岐にわたるシーンで生体認証の活用が拡大しており、私たちの生活に不可欠なセキュリティ技術となりつつあります。 1.1 身体的特徴を利用する認証 生体認証技術は、認証に用いる生体情報によって、主に「身体的特徴(Static Biometrics)」を利用するものと、「行動的特徴(Behavioral Biometrics)」を利用するものに大別されます。 身体的特徴を利用する認証とは、個人の身体そのものが持つ不変的な特徴を読み取って認証する方式です。 ■ 指紋認証 概要・仕組み 指先の紋様(隆線パターン)を読み取り、登録された指紋と照合 光学式、静電容量式、超音波式などの方式がある メリット 個人ごとに異なるため認証精度が高い 小型化しやすく、スマホなどに組み込みやすい 比較的低コストで導入できる デメリット・課題 指の乾燥や濡れ、傷などで認証失敗の可能性 残った指紋からの偽造リスク 接触型は衛生面での懸念あり 主な利用シーン スマートフォンやPCのログイン 勤怠管理、入退室管理 キャッシュレス決済端末など ■ 顔認証 概要・仕組み...

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多要素認証の必須化、証券会社で加速──急増する不正アクセスとその背景
フィッシング詐欺 不正ログイン
2025/05/09

多要素認証の必須化、証券会社で加速──急増する不正アクセスとその背景

2025年春、証券業界ではセキュリティ強化の流れが一層加速しています。日本証券業協会の発表により、野村証券や楽天証券を含む大手10社をはじめとした58社が、インターネット取引における「多要素認証(MFA)」の必須化を決定しました。 不正アクセスやフィッシング詐欺の被害が急増する中、オンライン取引全般における本人確認の重要性が改めて注目されています。 本記事では、多要素認証必須化の背景にある最新の被害状況と、証券会社各社が講じている具体的な対策について詳しく見ていきます。 1. 証券会社58社が多要素認証の必須化を決定 背景にあるフィッシング被害の急増 2025年2月から4月16日までの約2カ月半の間に、日本国内の証券会社においてフィッシング詐欺を通じた不正アクセスと不正取引が急増しています。 金融庁の発表によると、不正アクセス件数は3,312件、不正取引件数は1,454件にのぼり、売却金額は約506億円、買付金額は約448億円に達しました。 これらの被害の背景には、証券口座に不正ログインした犯人が保有株式を売却し、その資金で中国株や流動性の低い小型株を大量に購入するという手口が多く確認されていることが挙げられます。 最近では、本物の証券会社のウェブサイトをほぼ完全に模倣した偽サイトが多数出現しており、見た目だけでは判別が難しくなっています。こうしたフィッシングサイトの巧妙化により、従来以上に利用者が誤って情報を入力してしまうリスクが高まっていることも、被害拡大の一因となっています。 ターゲットとなった6社と被害の実態 特に被害が集中したのは、楽天証券、SBI証券、野村証券、SMBC日興証券、マネックス証券、松井証券の6社です。 これらの証券会社はいずれも、インターネット取引に注力している点や、多様な顧客層を抱えている点が共通しており、フィッシング詐欺の標的にされやすい状況にあったと考えられます。 また時代的背景として、近年の投資ブームにより非対面取引を中心とする新規口座開設者が急増していることも影響していると見られます。 新たに投資を始めた層の中には、オンライン取引におけるセキュリティ意識が十分に高くない利用者も多く、こうした状況がフィッシング被害の拡大に拍車をかけたと考えられます。 こうした大規模な不正アクセスの発生は、一般投資家の間に不安感を広げ、金融市場全体への信頼にも影響を及ぼしかねない重大な問題です。 2. 多要素認証必須化に向けた業界全体の対策と具体事例 金融庁が呼びかけるインターネット取引の安全対策 金融庁は、不正アクセスやフィッシング詐欺の被害が相次ぐ中、インターネット取引を行うすべての投資家に向けて、セキュリティ対策の徹底を呼びかけています。 特に重視されているのは、正規のウェブサイトを事前にブックマークしておき、不審なメールやSMSに記載されたリンクを不用意に開かないことです。 加えて、ワンタイムパスワードや生体認証といった複数の認証手段を組み合わせる「多要素認証(MFA)」の活用も推奨されています。これにより、仮にIDやパスワードが漏洩しても、追加認証によって不正ログインを防ぐことが可能になります。 さらに、パスワードの使い回しを避け、定期的に変更するなど、個人レベルで実施できる基本的な対策を講じることでも、被害リスクを大幅に低減できるとしています。 日本証券業協会(日証協)が推進する認証強化施策 日本証券業協会も、加盟する証券会社に対し、セキュリティ強化を目的とした具体的なガイドラインを示しています。その中核となるのが、インターネット取引時の「多要素認証」の導入と必須化です。 2025年4月時点で、すでに58社が多要素認証の導入を決定しており、今後さらに拡大する見込みです。日証協が策定したガイドラインでは、ログイン時や取引時に加えて、出金依頼や登録情報の変更など、複数のフェーズで追加認証を求める仕組みが推奨されています。 こうした取り組みにより、サービスの利便性を保ちつつも、システム全体を網羅的に守るセキュリティ体制の構築が進められています。 楽天証券における多要素認証必須化の取り組み 民間企業における対応事例として注目されるのが、楽天証券の動きです。同社は、ログイン時にメールアドレス宛へ送信される認証コードを使った多要素認証を導入しており、今後はこれを原則としてすべてのユーザーに対して必須化する方針を示しています。 特に、ゴールデンウィーク期間中などを活用して、早期に多要素認証の設定を行うよう利用者に呼びかけており、設定方法についても公式ウェブサイト上で詳しく案内しています。...

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【義務化スタート】クレジットカードセキュリティガイドライン6.0、EC事業者が今すぐ取るべき対応とは
3DS・チャージバック
2025/04/21

【義務化スタート】クレジットカードセキュリティガイドライン6.0、EC事業者が今すぐ取るべき対応とは

クレジットカードを巡る不正利用被害が年々深刻化するなか、経済産業省を中心とした「クレジット取引セキュリティ対策協議会」は、2025年3月に『クレジットカード・セキュリティガイドライン』の最新版となる「6.0版」を公表しました。 本記事では、6.0版で新たに示された主な改訂ポイントと、それに対してEC事業者がどのように対応すべきかを分かりやすく解説します。 1. クレジット・セキュリティガイドライン6.0版の主な改訂ポイント ガイドライン改訂に至った経緯 2023年、クレジットカードの不正利用被害額は541億円に達し、そのうち約9割がECサイトにおける「なりすまし」などの非対面取引で発生しています。 特にログイン情報の乗っ取りや、不正登録による購入行為など、カード番号以外の経路からの被害が急増しており、従来の対策では対応が追いつかない状況となっていました。 従来は、「カード情報を保存しない(非保持化)」、または「保存する場合はPCI DSS準拠」という国際的な基準に従うことで、一定のセキュリティが担保されていました。しかし、攻撃の手法が日々巧妙化するなか、こうした基本対策だけでは十分とは言えなくなってきています。 これを受けて6.0版では、ECサイト自体の安全性を高めるために、管理画面のアクセス制限、Webアプリケーションの脆弱性対策、ウイルス対策ソフトの導入など、具体的な技術的対策が新たに指針として盛り込まれました。 不正利用対策の目指す「線の考え方」 クレジットカード・セキュリティガイドライン6.0版では、不正利用対策の考え方として「線の考え方」が改めて強調されています。従来から示されていたこの方針に対し、6.0版ではより具体的・実践的な指針が追加された形となり、実務レベルでの対応が明確になりました。 これまでは「決済時の本人確認」を中心とした対策が主流でしたが、6.0版では決済前・決済時・決済後という一連のフロー全体を通じて不正を防止する、包括的・多層的なセキュリティ対策の必要性が明示されています。 特に、決済前の「不正ログイン対策の実施」と、決済時の「EMV 3-Dセキュアの導入」は、EC加盟店に求められる重点施策として位置づけられており、取引の早い段階からセキュリティの線を引くための重要な柱とされています。 とりわけ決済前には、「会員登録」「ログイン」「属性変更」といった各操作にも不正のリスクが潜んでおり、初期段階での対策を通じて被害の未然防止を図るアプローチが求められています。 2. 決済前のセキュリティ強化ポイント 不正ログイン対策の導入が“義務化”された背景 クレジット・セキュリティガイドライン6.0版では、「会員登録」「ログイン」「属性変更」などの操作において、第三者による不正アクセスを防ぐための対策が新たに明記されました。とりわけ「不正ログイン対策の実施」は、従来の推奨事項から義務レベルの指針へと明確に格上げされています。 背景には、ID・パスワードの流出や使い回しを狙った「リスト型攻撃」、アカウントを乗っ取って配送先を変更する手口など、決済前を狙う攻撃が急増している現状があります。 これにより、決済情報を守るには、より早い段階からのセキュリティ強化が不可欠となったのです。なかでも不正利用が多発している加盟店や、ブランド品・電子チケットなどの高リスク商材を扱うEC事業者では、多要素認証や行動分析といった、より高度な不正ログイン対策の導入が強く求められています。 有効な対策一覧と導入シーン別のポイント クレジット・セキュリティガイドライン6.0版では、不正ログインへの対応として複数の技術的対策を挙げており、それぞれの対策がどの場面で効果を発揮するのかを意識した導入が重要とされています。 以下に、代表的な対策とその活用シーンを整理して紹介します: 不審なIPアドレスの制限:常時の異常接続を遮断 2段階認証・多要素認証(MFA):ログイン・属性変更時の本人確認 会員登録時の個人情報確認:不正登録の防止 ログイン試行回数の制限:リスト型攻撃の抑止 ログイン・属性変更時の通知:利用者による異常検知...

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