【保存版】電話認証の種類と仕組みまとめ|技術の違いと導入時のポイントを解説

基礎知識 認証

電話認証は、オンラインサービスの不正利用防止やセキュリティ強化に欠かせない仕組みです。
本記事では、SMS認証、IVR認証、電話発信認証、電話発信×端末認証の4種類の技術について、それぞれの特徴や仕組みをわかりやすく解説します。

導入される業界や活用シーンにも触れながら、自社に最適な認証方式を選ぶための基礎知識を提供します。

1. 電話認証とは?種類と仕組みをわかりやすく解説

そもそも電話認証とは何か?

電話認証とは、ユーザーの電話番号を使って本人確認を行う仕組みです。
ID・パスワード認証に加え、電話回線を利用した二要素認証を組み合わせることで、本人確認の精度を高め、複数アカウントの作成やなりすまし、不正アクセスを防ぎます。

現在は、SMSでコードを送る方式のほか、ユーザーが指定番号に電話をかけて認証する方式や、端末情報と連動させた高度な認証も登場しています。

これらはセキュリティの高さや利用環境に応じて選べるのが特長で、導入によって不正防止によるコスト削減や、認証がスムーズになることで離脱率を減らす効果も期待できます。

導入されている業界や利用シーン

電話番号は「複製が難しい」という特性から、多くの業界で幅広く活用されています。

例えばECサイトでは、初回クーポンの不正利用やサブスクリプション型サービスの無料トライアルを何度も申し込む行為を防ぐため、1つの電話番号につき1アカウントと制限しています。この仕組みにより、実在する番号だけが登録でき、架空アカウントの排除や健全な運営、収益の確保につながります。

チケット販売やイベント予約でも同様に、転売目的による大量アカウント作成を防止します。購入前に電話認証を挟むことで、実在する利用者だけが申し込める仕組みを作り、公平な販売環境を維持できます。

この「複製が難しい」という特性はセキュリティ面でも有効です。
金融・証券業界では、IDやパスワードが漏れても本人からの電話発信がなければログインできず、フィッシング詐欺の対策として機能します。

さらに近年は行政サービスや公共料金支払いにも広がり、本人確認精度が求められる手続きで不正を防ぎつつ、高齢者やネット利用が不慣れな人にも使いやすい技術として注目されています。

2. SMS認証:最も一般的な電話認証技術

SMS認証の仕組みと流れ

SMS認証は、ユーザーが登録した電話番号宛にワンタイムパスコード(OTP)をSMSで送信し、そのコードを入力させて本人確認を行う方式です。
サービス側はユーザーが入力したコードと送信したコードを照合し、一致すれば認証成功となります。

コードは短時間で有効期限が切れるよう設定され、不正利用にも対策されています。

実装は比較的容易で、スマートフォン標準のSMS機能を活用できるため、多くのWebサービスやアプリに採用されています。

メリットとデメリット

SMS認証のメリットとして、まず追加アプリや専用機器を必要とせず、SMS受信とコード入力だけで利用できる点が挙げられます。
これにより、年齢層やITリテラシーを問わず直感的に操作でき、アプリのインストールやアカウント連携が不要な分、離脱率の低下にもつながります。

既存のスマートフォンと通信網を活用できるため初期投資がほぼ不要で、API連携のみで導入可能なサービスも多く、開発期間の短縮にも有効です。
さらに、ガラケーを含むほぼすべての携帯電話で利用できるなど、対応環境の幅広さも大きな利点です。

ただし、ランニングコストは想定以上に高くなる場合があります。例えば「1回の認証=1通のSMS送信」が前提でも、再送や入力ミスで平均4通程度になる事例があり、その分通数課金が増加します。

さらに、SMS受信用番号を大量取得・貸し出す業者の存在や、データSIM契約による容易な番号入手が不正利用やなりすましの温床となっている点も課題です。

加えて、回線状況やキャリア障害による遅延・不達、6桁コードの総当たり攻撃やSIMスワップ、端末乗っ取り、マルウェアによる傍受などセキュリティ面のリスクも残ります。

端末操作に不慣れな層やSMS利用経験のないユーザーは認証を完了できず離脱する恐れもあります。

向いているユースケースと注意点

SMS認証は、ECサイトの会員登録やパスワードリセット、ポイント交換など、中〜低リスクの取引に適しています。

例えば、オンラインゲームやSNSでの多重アカウント作成や短期間での大量登録を行う業者・BOTの排除に有効です。
また、フリーWi-Fi利用登録やキャンペーン応募など、高度なセキュリティよりもスムーズな利便性が求められる場面でも活用できます。

一方、SMSが届かない場合の再送機能は利便性を高める反面、不正利用のリスクを伴う可能性があります。

米国NISTは2017年以降、SMSによるOTP認証を推奨リストから除外し、より安全なアプリ認証やハードウェアトークンへの移行を推奨しています。また、Googleも2020年代に入り、一部サービスでSMSコード認証を段階的に廃止する方針を明らかにしています。

こうした背景から、高リスク取引や機密情報へのアクセスでは、SMS単独での利用を避け、FIDO2/U2Fキーや認証アプリとの併用が望まれます。

総じて、SMS認証は依然として導入しやすく幅広く活用されていますが、コストや不正利用、セキュリティ上の課題から、高リスク領域では非推奨とされる傾向にあります。

3. IVR認証:自動音声で完結する認証方式

IVR認証の仕組みと流れ

IVR(Interactive Voice Response)認証は、ユーザーが電話を受け、音声案内に従ってキー入力や音声入力を行い、本人確認を行う仕組みです。

入力情報は即時に暗号化され認証サーバーへ送信され、その場で照合結果が返されます。
オペレーター不要の自動化システムのため、24時間稼働が可能です。
認証方式は大きく分けて、ユーザーが特定の番号へ発信する「発信型」と、システムから着信して案内する「着信型」の2種類があります。

発信型は指定番号に電話し、認証コード入力や音声応答を行う方式で、フリーダイヤルを利用すれば導入ハードルを下げられます。

一方、着信型はユーザー番号に自動発信し、音声案内で本人確認を行う方式です。番号通知や着信拒否の影響を回避するため、SMSとの併用で到達率を高めることが可能です。

いずれの方式もリアルタイム処理が可能で、金融取引や重要アカウントアクセスなど、高いセキュリティが求められる場面で広く活用されています。

メリットとデメリット

主なメリットは、音声ガイダンスで直感的に操作でき、スマホやPCが苦手な層にも対応できる点です。
ガイダンスを多言語化すれば、海外在住者や訪日客といったグローバルな利用者にもスムーズに対応できます。

また、オペレーターを介さず24時間稼働できるため、人件費削減と顧客対応の効率化を両立できるのも大きな利点です。

認証はリアルタイムで完了するため、取引やログイン直前に本人確認を行い、不正アクセスやなりすましのリスクを大幅に低減できます。

一方で、通信環境や音声認識精度に依存するため、誤認証や操作ミスが発生する恐れがあります。特に雑音の多い場所では誤認識が増え、再試行による離脱率の上昇につながる可能性があります。

ガイダンスが長過ぎる場合も離脱の原因となるため、案内時間は簡潔にしつつ必要情報を過不足なく盛り込む工夫が欠かせません。

加えて、DDoS攻撃(大量通信による過負荷でサービスを利用不能にする攻撃)や大量発信による回線負荷への備えも必要です。

向いているユースケースと注意点

IVR認証は、金融機関の口座取引や法人向けサービスの管理者ログイン、重要データへのアクセスなど、高度なセキュリティが求められるシーンに適しています。

また、コールセンターやサポート窓口と連携すれば、事前に本人確認を完了させることで応対時間を短縮し、同時にセキュリティ強化も実現可能です。

さらに、契約や申し込みの最終承認時に、口頭だけでなくリアルタイムのキー入力や音声応答で本人意思を確認する用途にも有効です。

注意点としては、ガイダンスは簡潔でわかりやすく設計し、誤操作を防ぐための再入力機能やサポート案内を組み込む必要があります。加えて、回線混雑や攻撃への備えとして、同時接続数の上限やIP制限などの技術的対策を講じることが重要です。

また、認証失敗や着信不可のケースに備え、SMSやメール認証といった代替手段を用意しておくことが望まれます。

4. 電話発信認証:ユーザー発信による本人確認

電話発信認証の仕組みと流れ

電話発信認証は、ユーザーが指定された番号(多くはフリーダイヤル)に発信し、その発信元番号を認証サーバーで照合することで本人確認を行う方式です。
発信元番号が事前登録された番号と一致すれば認証が即時に完了します。

通話料がかからず、前章で解説したIVR認証(発信型)のように音声ガイダンスに沿った入力や操作を行う必要もありません。また、認証が完了すると、通話は自動で切断される点が特徴です。

ワンタイムパスワード(OTP)の入力が不要で直感的に利用できるため、幅広い年齢層のユーザーが迷わず操作できます。

メリットとデメリット

電話発信認証の最大の利点は、偽造や盗聴が困難な「電話網」を利用する点にあります。
インターネット経由の通信とは異なり、回線はキャリアによって直接管理されており、セキュリティが高く、なりすましや不正アクセスのリスクを大きく低減できます。

さらに、固定電話やガラケー、IP電話にも対応できるため、高齢者やスマートフォンを利用しないユーザー層にも導入しやすいという特徴があります。

操作手順もシンプルで、認証時の離脱率を抑え、会員登録や購入フローのコンバージョン率向上に寄与します。

一方で、電話をかける行為に不慣れなユーザーや、番号入力や発信操作に不安を感じる層には、導入初期に分かりやすい説明や案内が必要です。
また、発信元番号が非通知設定の場合や、発信制限がある回線では認証できないため、運用ルールや代替手段の整備が求められます。

加えて、海外からの発信や一部のIP電話では発信元番号の仕様が異なり、正しく認証できない場合があります。
国際展開を行うサービスでは、国ごとの番号仕様の違いを吸収できる仕組みの導入が重要です。

向いているユースケースと注意点

電話発信認証は、ECサイトの初回購入や会員登録、キャンペーン応募など、1人1アカウントの制限が必要な場面で特に効果を発揮します。
複数アカウントの作成による不正クーポン取得や転売目的の登録を防ぎ、健全な取引環境を維持できます。

また、金融サービスや行政手続きなど、高い本人確認精度が求められるケースでも有効です。

導入時には、認証手順を画面上でわかりやすく案内することが重要です。特にスマートフォンでは、発信ボタンを直接表示するUI設計により操作性を高められます。

さらに、非通知設定の解除方法や、発信制限回線を利用する場合の代替認証手段(SMS認証やIVR認証など)を事前に提示しておくことで、利用者の混乱や認証失敗を防げます。

なお、フリーダイヤルを利用する場合、発信者には料金がかからず、通常は事業者側にも着信コストは発生しません。これは接続前に切断する運用が一般的であるためです。

ただし、一部の事業者では接続後に音声ガイダンスで認証成功を案内するケースがあり、その場合は通話時間分の料金が発生します。

また、大規模キャンペーンや大型セール時にはアクセス集中による回線混雑やコスト増加のリスクがあるため、利用上限や時間帯制限を設けるなどの運用対策が求められます。

5. 端末認証(電話発信×デバイス認証):不正対策に優れた高度な認証方式

端末認証の仕組みと流れ

端末認証は、ユーザーが電話発信で本人確認を行うと同時に、その端末固有の情報を用いて認証する方式です。
OSやブラウザ情報に加え、画面解像度、フォント設定、インストール済みプラグイン、ハードウェアIDなど、複数の要素を組み合わせて照合します。

認証の流れとしては、まず指定された番号に発信し、その発信元番号を認証サーバーで確認します。

続いて、端末から取得した情報を突き合わせ、一致した場合にのみ認証を完了します。
この二重チェックにより、電話番号だけでは突破できない強固なセキュリティを実現します。

メリットとデメリット

最大の強みは、二要素認証を強化し、不正アクセスやなりすましをほぼ完全に防げる点です。電話番号が漏洩した場合でも、登録済み端末以外からはログインできず、電話番号を悪用したフィッシングや不正ログインを効果的に無力化できます。

加えて、SIMスワップ詐欺や高度なフィッシング攻撃にも強く、モバイル決済や暗号資産取引など、セキュリティ要件の厳しい業務にも適しています。

端末情報の照合は裏側で行われるため、ユーザーは通常の電話発信と同じ感覚で利用でき、利便性も維持されます。

一方、端末変更や機種変更時の再登録要否は事業者の要件や運用設計によって異なります。再登録を必須とせず、認証フロー内で追加手続きなしに端末登録を完了できる仕組みも実装可能です。

また、ブラウザ設定やセキュリティソフト、法人ネットワークやVPN経由などの条件によって端末情報の取得が制限される場合もありますが、環境調整により回避できるケースもあります。

向いているユースケースと注意点

端末認証は、その高い突破困難性から、金融サービスや高額取引など極めて厳格なセキュリティが求められる場面に最適です。
行政分野でも、マイナンバー関連手続きや税務申告、戸籍謄本のオンライン交付など、なりすまし防止策として採用されています。

さらに、会員制ECサイトや限定コンテンツ配信サービスのように、不正会員登録やアカウント共有を防止したいケースにも有効です。

高額オンラインゲームのアカウント保護でも、資産やアイテムの不正取引防止を目的に端末認証を必須とすることで、ユーザーの信頼向上につながります。

さらに、端末情報は電話番号と同様に不可逆的ハッシュ化して保持すれば、個人情報保護法上の「個人情報」には該当せず、取得目的の明示やユーザー同意は不要です。

導入コストは端末情報取得システムや照合サーバーの構築などで、電話発信認証単独より高くなる場合があります。

一方で、運用面ではパスキーなどの最新方式より端末登録や再登録が容易であり、特にパスキーは設定負担が大きいため、ユーザー体験の面では端末認証が優れています。

Infront Securityがおすすめの理由

Infront Securityは、独自の特許技術を活用し、利用者が発信した電話番号と端末固有のデバイス情報を組み合わせて本人認証を行う高精度なシステムです。

ユーザーは画面に表示された番号へワンタップで発信するだけで認証が進み、自動で通話が終了するため、ログインや会員登録、決済など幅広いシーンで高いセキュリティとスムーズな操作性を両立できます。

さらに、固定電話・スマートフォン・IP電話など多様なデバイスに対応し、導入方式としてAPI版とJavaScript版を提供しています。
JavaScript版であればタグを設置するだけで即日導入でき、API仕様もシンプルなため専門知識がなくても短期間で実装可能です。

加えて、無料のテスト環境が用意されており、本格導入前の検証も円滑に行えます。

機種変更時にも、旧端末の有無に応じて複数のわかりやすい移行方法を提供しており、スムーズかつ安心して利用を継続できます。

加えて、不正アクセスを90%以上削減した実績を持ち、出前館やドモホルンリンクルなど大手企業での導入事例も豊富で、信頼性と実績の両面で高い評価を得ています。

6. 導入時に注意したいポイント

初期費用とランニングコストの考え方

電話認証サービスを導入する際は、初期費用と運用コストの両方を慎重に見積もることが重要です。

初期費用には、開発・API連携・既存システム改修に加え、検証環境の構築やセキュリティ監査費用が含まれる場合もあります。
不要な機能や重複投資を避けるため、要件定義の段階で優先度を明確化しておくことが肝心です。

運用コストは、月額利用料や認証ごとの従量課金が中心で、利用規模やトラフィック量によって大きく変動します。

また、フリーダイヤル着信分の通話料やSMS併用時の送信料など、見落としがちな費用もあります。

特に、キャンペーンやセール時など短期間にアクセスが集中すると、コストが急増する恐れがあります。
大量アクセスが予想されるサービスでは、想定外のスパイクに備え、上限課金プランや一時的な容量増加オプションを契約に組み込むと安心です。

加えて、ボリュームディスカウントや契約形態の柔軟性も有効な検討材料となります。

API連携・システム実装時の落とし穴

API連携は導入の要ですが、既存システムとの互換性やテスト環境の有無によって必要工数は大きく変わります。

認証APIがシンプルでも、文字コード・タイムゾーン・通信プロトコルの違いによって、予期せぬ不具合が発生する可能性があります。

特に古い基幹システムや独自仕様のCRMと連携する場合は、事前の互換性チェックが欠かせません。

想定外の不具合や認証遅延を防ぐには、負荷試験やエラーハンドリング設計を事前に行うことが不可欠です。

再試行回数やタイムアウト時間、失敗時の代替フロー(例:SMS認証への切り替え)も明文化しておくべきです。

さらに海外展開を視野に入れる場合は、国ごとの番号正規化や地域別ゲートウェイの導入など、各国事情に応じた専用対応が必要です。

また、ベンダー側の仕様変更で互換性が崩れる可能性があるため、長期運用を前提とする場合は、バージョン管理や変更通知ポリシーを契約に盛り込むことが望ましいです。

ユーザビリティとコンバージョンへの影響

認証フローはできるだけシンプルに設計し、説明文やUIデザインで利用者の迷いを減らすことが重要です。

発信ボタンをワンタップで押せるUIや、ブラウザ遷移なしで完結するアプリ内フローを導入すれば、完了率の向上が期待できます。

初回利用者にはポップアップやアニメーションで動作イメージを提示すると安心感が高まり、高齢者向けサービスでは文字サイズやコントラストの調整も効果的です。

また、コンバージョン改善のためには、認証失敗時の再試行導線を短くすることで復帰率を高められます。

失敗原因(非通知設定・圏外など)を即時に表示し、代替手段をその場で提示すれば、離脱防止につながり、ECや会員登録のCVR改善にも直結します。

電話認証は方式ごとに特性や適性が異なります。
自社のサービス内容や顧客層、求めるセキュリティレベルに応じて最適な方式を選び、運用設計やコスト管理を含めた総合的な計画を立てることが導入成功の鍵となります。

不正は劇的に、ユーザーは快適に。Infront Security。

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