ニッポンレンタカーアプリ 会員41名・55名の情報漏えいのおそれ、運転免許証情報やカード下4桁で何をされるのかまとめました

ニッポンレンタカーアプリ 会員41名・55名の情報漏えいのおそれ、運転免許証情報やカード下4桁で何をされるのかまとめました

2026年9月26日、ニッポンレンタカーサービス株式会社は、同社が運営する「ニッポンレンタカーアプリ」のシステムに第三者による不正アクセスがあり、会員41名の情報が不正に閲覧されたおそれがあると公表しました[1]。さらに10月1日には、調査の過程で別の手法による不正アクセスが判明し、55名の会員の会員情報ページに不正なアクセスがあったと続報を出しています[2]。

閲覧されたおそれがあるのは、氏名・電話番号・メールアドレス・ログインID・利用履歴・予約情報です。運転免許証情報やクレジットカード情報を登録していた会員は、免許証番号・住所・生年月日、カード番号の下4桁と名義人名も対象になるとしています[1][2]。人数は数十名規模で、二次被害は確認されていないとしていますが、それで安心とは言い切れません。

「自分の情報で、これから何をされるのか」。「会社として、どこから手を打てばよいのか」。この記事では、その2つに答えるために、閲覧されたおそれのある情報が悪用されうる場面と、アプリやWebの会員ページで認証が使われる場所を、公開情報から整理しました。

この記事の要点

  • 名前・予約内容・カード下4桁まで正しく書かれた、本物らしい偽メールや偽SMSが届きやすくなります。
  • 会社からの案内メールが届いた人は、パスワードの再設定と、任意の「認証コードログイン」の設定を検討すると安心です。
  • 会社側がまず見直したいのは、会員番号の照会や窓口での本人確認に、今回の項目が使われていないかです。

なお、本記事は公表文や公式サイト、アプリストアの説明など、公開情報だけをもとにしています。ログイン画面を実際に試すような調査はしていません。確認できなかった点は「確認できず」と書いています。

何が起きたか(要約)

公表文[1][2]によると、概要は次のとおりです。

項目 内容
初報(9月26日) アプリのシステムへの不正アクセスで、会員41名の情報が閲覧されたおそれ[1]
続報(10月1日) 初報とは異なる手法の別の不正アクセス。9月19日〜21日に行われ、9月29日に確認。55名の会員情報ページに不正なアクセス[2]
閲覧されたおそれのある情報 氏名、電話番号、メールアドレス、ログインID、利用履歴、予約情報[1][2]
登録していた人だけ対象 運転免許証情報(免許証番号・住所・生年月日)、クレジットカード番号下4桁・名義人名[1][2]
対象外とされる人 会社から案内メールが届いていない会員は、現時点で閲覧されたおそれは確認されていない[1][2]
二次被害 不正利用などの二次被害は確認されていない[2]
対応 対象者へ個別に連絡し、初報の対象者にはパスワードの再設定を依頼。個人情報保護委員会へ報告し、警察に相談[1][2]

同社は、メール・SMS・電話などでパスワードやクレジットカード情報を尋ねることはないとしています[2]。

閲覧されたおそれのある情報で、何ができてしまうか

カード番号そのものは対象に入っていません。ただ、今回の項目は、組み合わせると「本人しか知らないはずの情報」に見えやすいものが多く含まれています。

情報 攻撃者にとっての使い道(一般的に考えられるもの)
氏名+メールアドレス+予約情報・利用履歴 実際の予約日や店舗に触れた、本物そっくりの「ニッポンレンタカー」名義のメールを送れる
カード番号下4桁+名義人名 「ご登録のカード(末尾〇〇〇〇)の確認」といった、本物らしさを増した偽の案内を作れる
氏名+電話番号 名前入りのSMSを送れる。送り主を偽ったSMSが、本物と同じ画面(スレッド)に並んで表示される手口も知られています[8]
運転免許証情報(免許証番号・住所・生年月日) 本人確認に免許証の情報を使う手続きで、本人らしく見せる材料になる
ログインID(メールアドレス・会員番号) 他のサービスで漏れたパスワードと組み合わせて次々に試す「パスワードリスト攻撃」の材料になる

どれも「知っていれば本人らしく見える情報」です。知っていることだけで本人と見なす仕組みは、その情報が外に出たおそれがある時点で弱くなります。

このサービスで認証が使われる場所

公開情報で確認できた機能から、認証が関わる場所を並べました。

場所 今の方式(公開情報で確認できた範囲) 今回の情報との関係 狙われやすさ
ログイン(Web・アプリ共通) 会員番号または認証済みメールアドレスとパスワード。アプリもWebと同じID・パスワード[3][5] ログインIDが閲覧されたおそれ。パスワードを他のサービスと同じにしている人は、入られる可能性がある 高
認証コードログイン 登録メールアドレスに届く認証コードを入力する二段階認証。初期は未設定で、希望者が設定。一度ログインすると24時間は確認不要[3] 設定していない人には効かない。メールアカウントを乗っ取られた人は、コードも読まれてしまう 中
アプリの生体認証 公式サイトに「生体認証で楽々ログイン」の記載[5]。初回の登録手順は確認できず 端末側の確認のため、閲覧された情報だけで直接通るのは難しい 低
会員番号の照会 氏名・免許証番号・生年月日・登録のメールアドレスまたは電話番号で照会できる[4] 免許証情報を登録していた人は、照会に使う4項目がすべて今回の対象に含まれる 中
パスワード再設定 FAQからWebの再設定画面へ進んで手続きする[4]。再設定の確認方法(メールのリンクかコードか)は確認できず 偽の「再設定してください」メールを送りやすい。メールを乗っ取られた人は再設定まで進まれるおそれ 高
予約の変更・取消 アプリで予約の照会・変更・取消ができる[6] 乗っ取られると、他人の予約を変えたり取り消したりされる 中
事前登録カードでの支払い 事前登録したクレジットカードで支払いができる[6] 乗っ取られた場合に、登録カードで予約・支払いをされる可能性。追加の確認の有無は確認できず 要確認
セルフレンタカー 店舗限定で、アプリで店舗手続きを完結し、鍵の解錠・施錠もできる[5][6] アカウントの価値が高い場所。受け取り時にどんな本人確認があるかは確認できず 要確認
窓口での本人確認 どの項目で本人確認しているかは公開されておらず、確認できず もし氏名・電話番号・生年月日などが合えば本人と見なす運用なら、今回の項目と重なる 要確認

※「狙われやすさ」は、公開情報をもとにした当社の見立てです。実際のしくみを確かめたものではありません。

会社がまず見直すとよい所(優先順)

公表文では、必要な対策と封じ込め措置の実施、セキュリティ体制のさらなる強化が挙げられています[2]。一方で、ログインやパスワード再設定の確認方法を変えるといった記載はありませんでした。認証の観点からは、次の順で見直すことが考えられます。

  1. 会員番号の照会と窓口の本人確認から、今回の項目を外す。照会に使う氏名・免許証番号・生年月日・メールアドレスまたは電話番号は、免許証情報を登録していた人では今回の対象とすべて重なります。運用の見直しから始められる所です。
  2. 認証コードログインを、任意から「価値が動く場面では必ず」に近づける。今は初期未設定です。毎回のログインを重くするのではなく、新しい端末からのログインや登録情報の変更など、狙われる場面だけに確認を入れる考え方です。
  3. 支払いとセルフレンタカーの手前に、追加の確認を入れる。登録カードでの支払いや、アプリで鍵まで扱える手続きは、アカウントを乗っ取られた時の影響が大きい場所です。

認証の観点から:「番号を知っている」と「その電話を持っている」は違う

今回、閲覧されたおそれのある情報には電話番号が含まれています。ここで分けて考えたいのは、「電話番号を知っていること」と「その電話番号の回線を実際に持っていること」は別物だという点です。

前者は、第三者に知られたかもしれません。一方で後者は、情報が外に出ても変わりません。認証の土台を「知っているか」から「持っているか」へ移すことが、こうした事故の後にこそ効いてくる対策です。

メールに届く認証コードやSMSのワンタイムパスワードも、受け取る先を持っているかを確かめる方式です。ただし、米国NISTのガイドラインは、SMSなど電話網を使う確認方法を「制限付き(restricted)」の手段と位置づけています[7]。禁止ではありませんが、端末の入れ替えやSIMの変更、電話番号の乗り換え(ポーティング)といったリスクを踏まえ、それだけに頼りきらない設計が求められています。

当社Infront Securityの電話番号認証は、利用者がワンタップで指定の番号に発信し、その発信者番号と端末の情報をサーバー側で照合して本人を確かめます。電話番号を知っていても、その回線から発信できなければ認証は通りません。偽サイトは利用者の電話回線を持っていないため、フィッシングに耐性のある方式です。

今のログインを壊さずに「持っているか」の確認を足す方法については、お気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら


出典

  1. ニッポンレンタカーサービス株式会社「NRアプリへの不正アクセスによる会員情報漏えいに関するお詫びとお知らせ」(2026年9月26日)https://www.nipponrentacar.co.jp/info/202609.html
  2. ニッポンレンタカーサービス株式会社「NRアプリへの不正アクセスによる会員情報漏えいに関するお詫びとお知らせ※9月29日判明分」(2026年10月1日)https://www.nipponrentacar.co.jp/info/202610_2.html
  3. ニッポンレンタカー「ログインについて」(2026年10月18日取得)https://www.nipponrentacar.co.jp/service/help_login.html
  4. ニッポンレンタカー「ID/パスワードが分からない場合」(2026年10月18日取得)https://www.nipponrentacar.co.jp/faq/login_number.html
  5. ニッポンレンタカー「ニッポンレンタカーアプリ」(2026年10月18日取得)https://www.nipponrentacar.co.jp/app/nrapp/index.html
  6. App Store「ニッポンレンタカーアプリ」説明文(2026年10月18日取得)https://apps.apple.com/jp/app/id1546700564
  7. NIST SP 800-63B Rev.4(2025年8月)§3.1.3.3 https://pages.nist.gov/800-63-4/sp800-63b.html
  8. ソフトバンク 送信元が偽装されたSMSに関するご注意(2020年3月4日掲載、2020年12月3日更新)https://www.softbank.jp/mobile/info/personal/news/support/20200304a/
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