コラム

クレマスなどクレジットカード詐欺の高度化:ユーザー任せにしないための事業者対策
チャージバック
2024/08/28

クレマスなどクレジットカード詐欺の高度化:ユーザー任せにしないための事業者対策

クレジットカード詐欺の手口は年々巧妙化の一途を辿っています。クレジットマスターアタックやフィッシング詐欺など、高度な手法が次々と登場しています。ユーザー自身による防御策は限界を迎えており、こうした詐欺からユーザーを守るためには、事業者側の対策強化が不可欠です。本記事では、最新の詐欺の手口を解説し、事業者が取るべき具体的な対策について詳しくご紹介します。 1.クレジットカード詐欺の被害額は年々増加 一般社団法人日本クレジット協会の調査によると、2023年のクレジットカード不正利用被害額は540.9億円に達しました。2014年と比較すると約5倍にまで被害額が膨れ上がっており、クレジットカード詐欺の深刻さが一層明らかになっています。 増加の要因の一つとして挙げられるのが、番号盗用による被害です。番号盗用とは、クレジットカード番号や暗証番号が不正に取得され、その情報を基に不正利用される手口です。2023年における番号盗用被害は、2014年と比較して約7.6倍にも増えており、特にオンライン取引において深刻な問題となっています。 利用者への注意喚起がなされたり、事業者による対策が強化されたりしていますが、被害の拡大を食い止めるためには、さらなる取り組みが必要とされています。 2.現在の主流は「クレジットマスターアタック」「フィッシング」 クレジットカード詐欺の手口は年々巧妙化し、特に「クレジットマスターアタック」と「フィッシング」が現在の主流です。カード情報を狙った高度な技術が駆使されるようになっており、利用者の不注意や技術的な隙を突いてきます。本セクションでは、これら二つの詐欺手法の具体的な仕組みを解説していきます。 クレマスの仕組み クレジットマスターアタック(クレマス)は、従来のクレジットカード詐欺とは異なり、カード保有者が自らの番号をどこにも提供していなくても不正利用される可能性があるという点で、非常に厄介です。 通常、クレジットカード詐欺は、攻撃者がカード番号やセキュリティコードを盗み取り、その情報を不正に利用する形を取ります。しかし、クレマスでは、攻撃者がクレジットカード番号の生成アルゴリズムを逆算し、その仕組みを利用して無作為に大量の番号を生成することにより、不正利用を試みます。攻撃者は生成した番号をオンラインショッピングサイトなどで試し、その中から有効な番号を見つけ出します。 つまり、攻撃者が無作為に生成した番号が偶然にも実際のカード番号と一致すれば、いくら情報漏洩の対策をしていても、カード保有者は自身が知らないうちに不正利用の被害に遭うことになるのです。クレマスは単に情報漏洩の問題に留まらず、全く新しい形態のリスクをもたらしていると言えます。 フィッシングの仕組み フィッシングは、クレジットカード詐欺の中でも広く行われている手口です。攻撃者はまず、公式な機関やサービスを装ったメールやSMSを送信し、ユーザーに緊急性を感じさせるメッセージを送りつけます。「あなたのアカウントに不正なアクセスがありました」や「カードの有効期限が切れています」などの内容で、ユーザーに不安を煽り、即座に対応するよう促します。メッセージには、公式サイトに見せかけたリンクが含まれており、ユーザーがそのリンクをクリックすると、偽のログインページやフォームに誘導される仕組みです。 偽ページは、本物のウェブサイトとほとんど区別がつかないほど巧妙に作られているため、多くのユーザーが疑うことなく、自分のクレジットカード情報やパスワードを入力してしまいます。攻撃者は、こうして取得した情報を利用して不正にカードを使用したり、さらなる詐欺行為を行ったりします。フィッシングの問題は、その巧妙さゆえに、ユーザー側が気づかずに情報を提供してしまうケースが多いという点です。 3.新しい手法が次々と登場 詐欺の手口は日々進化しており、クレマスやフィッシングに続いて「なりすまし型バナー広告」など新たな手法が次々と登場しています。従来の対策や利用者の注意だけでは防ぎきれないほど巧妙であり、今やユーザー側だけの意識改革では限界があると言えるでしょう。 なりすまし型バナー広告の仕組み 「なりすましバナー広告」は、通常のバナー広告とは異なり、サイトの一部に見せかけてユーザーを巧みに誘導する手口です。 ユーザーが訪れたWebサイトやスマートフォンアプリに表示されるこの広告は、商品名やサービス名が一切表示されず、代わりに「スタート」「続行」「ダウンロード」といったシンプルなボタンが大きく表示されているため、広告であることに気づきにくい仕組みになっています。ユーザーは広告をクリックしている意識がなく、サイトの通常の操作の一環としてボタンを押してしまうことが多いのです。 クリックすると、ユーザーはメールアドレスでのアカウント作成を促され、さらに進むとクレジットカードの情報を入力するよう指示されます。カード情報を登録してしまうと、利用規約の中に「5日間の無料期間を過ぎると課金される」などという条件が英語で書かれており、ユーザーが後になってそれを発見する頃には、課金が開始されているケースが多いのです。 このように「なりすましバナー広告」は、ユーザーが気づかないうちにカード情報を提供させ、巧妙に課金される仕組みになっていますが、法律的には詐欺と断定しにくいグレーな手法であるため、対処が難しいのが現状です。 ユーザーに対策を求めることは不可能な時代に これまで紹介してきた通り、近年のクレジットカード詐欺は、カード情報の流出がなくとも悪用されたり、明らかに詐欺とは言えないようなグレーゾーン的なものであったりと、手口がますます巧妙化しています。また、AIを活用することで、さらなる進化を遂げる可能性が出てきています。 ユーザーがどれほど注意深くても、そもそも防ぎようがなかったり、詐欺に引っかかる可能性が高いのが現実です。ユーザー側だけに責任を負わせ、対策を求めるのは無理がある時代に突入しているのです。 詐欺被害を防ぐためには、事業者側がセキュリティ対策を強化し、利用者を保護する仕組みを積極的に導入することが不可欠です。事業者にとっても、万が一インシデントが発生すると、ブランド価値が毀損されかねません。 4.Infront Securityによる解決策 ユーザー側の注意力に依存しない仕組みとしては、パスワードレス認証や、サイト利用時の本人確認を厳格化する方法があります。Infront Securityのパスワードレス認証を導入すれば、クレマス攻撃の抑止や、フィッシングの防止が可能です。 電話+端末認証の仕組み...

チャージバックが起きる原因と効果的な対策は?便利なツールも紹介
チャージバック
2024/05/27

チャージバックが起きる原因と効果的な対策は?便利なツールも紹介

オンライン決済の普及に伴い、事業者にとって「チャージバック」のリスクが増大しています。チャージバックとは、消費者が決済に同意しない場合にカード会社が売上を取り消す仕組みです。事業者にとっては損失につながる可能性があり、注意が必要です。本記事では、チャージバックが発生する原因と、その対策について詳しく解説。チャージバック対策に役立つツールもご紹介します。 チャージバックとは チャージバックは、カード保有者を不正利用や悪質な取引から保護するための重要な制度です。一方で、この制度は事業者にとって大きなリスクとなることをご存知でしょうか。 チャージバックが発生すると、クレジットカード会社が調査を行い、事業者への支払いを取り消して返金手続きを行います。事業者は売上金を回収できなくなってしまいます。すでに商品を発送していた場合には、商品が不正利用者から戻ってくる可能性は極めて低く、売上金未回収と商品損失の二重の損失を被ることになるのです。 オンライン決済が当たり前の時代では、チャージバックは避けては通れない課題です。適切な対策を講じ、チャージバックのリスクを最小限に抑えた運営に務めましょう。 チャージバックが起こる主な原因 カードの紛失・盗難 旅行先のホテルの部屋、スポーツジムのロッカー、レストランでの食事中など、日常生活のあらゆるシーンでクレジットカードが盗難に遭う可能性があります。うっかりカードを落としてしまい、拾得者に悪用されるケースもあるでしょう。盗難や紛失したクレジットカードを使って実店舗で商品を購入する際は、暗証番号の入力や署名による本人確認が行われるため、ある程度の抑止力が働きます。オンラインショッピングでは対面での本人確認が不要なため、犯罪者にとってはカードを不正利用するハードルが低くなります。 カード情報の漏洩・盗用 「スミッシング」と呼ばれる手口では、大手通信会社を装ったSMSを送信し、メッセージ内のリンクから偽のウェブサイトに誘導します。そこで、個人情報やクレジットカード情報の入力を求められ、気づかないうちに情報を盗み取られてしまいます。巧妙に作られた偽サイトは、本物との見分けがつきにくく、被害に遭ったことに気づかない人も少なくありません。カード情報を読み取るための不正装置をATMに取り付ける「スキミング」という手口も依然として存在しています。クレジットカード情報が何らかの方法で漏洩し、悪意のある第三者に不正利用されるケースが後を絶ちません。 クレジットマスター 「クレジットマスターアタック」は、クレジットカード番号の生成アルゴリズムを悪用し、有効なカード番号を大量に生み出すコンピュータープログラムを使った不正行為です。クレジットカード番号には一定の法則性があるため、この法則性を解析するプログラムを用いることで、実在するカード番号を大量に割り出せる仕組みです。クレジットマスターアタックは、カード情報の漏洩や盗難と比較すると、実在するカード番号を推測して不正利用する点が異なっています。 チャージバック発生時の対応 チャージバックが発生すると、カードユーザー、カード会社、事業者の間で以下のようなプロセスが進行することとなります。 カードユーザーによる申し立て まず、カードユーザーが不正利用、商品未着、商品の破損・不具合などを理由に、カード会社にチャージバックを申し立てます。この際、カードユーザーは申し立ての根拠となる情報を提供する必要があります。 カード会社は申し立てへの対応を検討 カード会社は、カードユーザーからの申し立てを受け、その内容を詳細に調査します。事業者に対して取引の詳細情報や証拠の提供を求めた上で、申し立ての妥当性を判断する仕組みです。事業者は、取引の正当性を証明するために、注文記録、配送記録などを提示することが求められます。 チャージバックの実行 カード会社が申し立てを妥当と判断した場合、事業者への支払いを取り消し、カードユーザーに代金を返金します。これがチャージバックの実行です。チャージバックが実行されると、事業者は売上金を失うだけでなく、チャージバック手数料も負担する必要があります。 チャージバックリスクの高いECサイト・商材とは チャージバックリスクが高いECサイトや商材には、いくつかの特徴があります。 デジタルコンテンツ販売サイトでは、不正利用されたカード情報での大量購入や、コンテンツの質に対する不満からチャージバックが発生するリスクが高くなります。健康食品・美容関連商材を扱うサイトでは、商品の効果に対する期待と現実のギャップや、定期購入プランの解約手続きの分かりにくさが原因となることが多いです。 また、高額商材を取り扱うサイトでは、1件あたりのチャージバック金額が大きくなることに加え、偽物や模造品に関連したトラブルも発生しやすくなります。オークションやフリマアプリなどのC2Cプラットフォームも、個人間取引に起因するトラブルからチャージバックリスクが高くなる傾向にあります。 一般的な不正利用防止対策 本人認証(3Dセキュア) 3Dセキュアは、クレジットカード情報と、カード所有者が事前に登録したパスワードの情報を組み合わせて、本人であることを確認する仕組みです。3Dセキュアの認証プロセスは、カード発行会社のサーバーを介して行われるため、ECサイト側では個人情報を保持する必要がなく、セキュリティリスクを軽減できます。ただし、認証プロセスが追加されるため、購入者の利便性が若干損なわれる可能性があることには留意が必要です。 券面認証(セキュリティコード認証) クレジットカードの裏面に印字されている3桁または4桁のセキュリティコードを入力させることで、カード情報を物理的に所持している人物であることを確認する方法です。セキュリティコードは、カード番号や有効期限とは別に管理されているため、不正に入手されたカード情報だけでは利用が困難になります。残念ながら、セキュリティコードも同時に流出している場合は、この方法だけでは不正利用を防ぐことができません。 不正検知システム(属性・行動分析)...

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